2018年5月27日 18:43

曳家目線での沈下修正や基礎補修

2018/ 5/27 16:39

時間が空いたので広島~熊本に現地調査の独りドライブです。

誰ですか??「岡本さん忙しいなー」なんて呑気なこと言ってくれているのは?

あのねーーー。

ここまで全国走り回らないと、うちのような小さな曳家さんは仕事切れわけですよ!地元だけで仕事が確保できるならそれが一番ですよ。

でも、本当に曳家の仕事のご依頼は少なくなってます。なので、「もう何年もやっていない(でも、道具があるから依頼されたら)やりますよー」な兼業曳家さんにご不安を感じて、わざわざ呼んでくださっている側面もあります。

 

昨日と今朝の現地調査および自分なりの考えは、曳家ならではですので、ご参考までにお読みくださいませ。

 

御世話になります。
現状と昨日、お施主さまご夫婦とお話してきたこと、所見をお伝えしておきます。
築38年程度の在来木軸2階建てです。
場所、お家そのものは気に入っているので、きちんと直して後30年使えるようにしたい。
増築のせいで入り隅が多くなっております。
お問い合わせいただいたイメージでは、沈下修正工事かと思っておりましたが。
実際にお伺いすると、沈下量は大きくなく、
それよりも湿気と白蟻被害(こちらは防蟻処理をして停まってはいます)による、
玄関部分、お風呂場(お風呂は今回の工事の流れで新しいものに入れ換えたいそうです。)の土台、柱の傷みが、あります。
現状、床下換気扇を取り付けていますが、充分な効果が得られていません。
原因としては、駐車場側のGLと、基礎天端までは10cm程度しかなくて、雨のはねかえりなどが風窓やクラックから浸透してきている要素もあるかと思います。
これは駐車場側の土を漉き取って基礎立ち上がりを30cm程度確保するようにした方が良いかと思うのですが・・
そうすると敷地が道路より低くなる。という問題があります。
10cm程度なら漉き取れます。
床下を見せていただきましたが。
まだ基礎パッキンが入っていない頃の施工でした。
そこで沈下修正工事をするのに合わせて、全体を持ち揚げてパッキンを入れることもお話しました。
お施主さんはこの案を気に入ってくださいましたが・・
いかんせん費用が高額になります。(たぶん400万円くらい)
それと、ヘアクラックなどを気にされていましたので、やはりアラミド繊維をご提案しました。
これも材料代が高いので、両面を施工すると150万円くらいはかかります。
ただ、基礎は見た感じ最近の強度180くらいのものからすると・・120程度に見えました。
以下は昨晩、自分なりに考えてみたことです。
究極?は、家を全体に一旦、1m程度持ち揚げておいて基礎を新調して、据え付けなのかも知れないです。
その際に沈下修正+基礎パッキン、土台、柱の入れ換えもできます。
山を削って造成した上に建っているので地盤は悪くないそうです。
現状は布基礎です。
奥さまは布基礎で土があるのが良いと言われていますが・・湿気対策を考えると防湿コンクリートなどを打った方が良いかと思います。
そうすると、細かく、沈下修正して、基礎補修して、アラミド繊維を貼って、防湿コンクリート打ってなどをしてゆくのと、比較して
工事期間中の不便はありますが・・きれいな工事になるおでは?とも思います。
その場合、床フローリングもかなり傷んでいますので、全面撤去となりますし。
奥さまは耐震改修よりも、湿気対策を優先と考えていらっしゃいますが・・ある程度の耐震改修も同時にするとして(ご主人はそのつもりです)、一部、壁を撤去させていただければ新しい基礎からホールダウン金物もアンカーボルトも緊結できますから・・
良いのでは?と思います。
大学の先生ですので、本が大量に部屋にあります。
工事期間中は庭が拡いので物置等を設置して収納が現実的かな??
もう1棟
お家の擁壁側が7坪程度、最大5cm程度沈下しておりました。
直したいけど・・どうするのが良いかな?というご相談でした。
既にSSで地盤調査していたんですが・・この調査書には、沈下修正工法に関する所見が書かれていたのですが。
「薬液注入工法、発泡ウレタン工法については、布基礎のため施工不可能です。」「アンダーピニング工法での沈下修正を推奨します」とありました。
おいおい。ちょっと待てよ。布基礎に対してのアンダーピニングって!!よほど、基礎立ち上がりの剛性が確保されていないと、割ってしまうこと、や定着も不安定になるリスクがあるのに・・・このお家の年式と基礎コンクリートの見た目から判断すると強度180あるはずも無く、
どうして?こんなことを書いたんだろう?この地盤調査者は、上部構造に詳しいのかな?ましてやアンダーピニング工法は安い工事では無いですから。
そんなわけで皆さまお気軽にお問合せくださいませ。よろしく御願いします。

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能登半島地震で住宅被害に遭われた方へ

以下、実務者の立場から書かせていただきます。

  1. 液状化による地盤沈下を直す「沈下修正工事」と地震の横揺れで歪んだ建物を直す「家起こし(軸組補正工事)」は別ものです。

    水平を直すのみの工事と、垂直を直す、もしくは水平を直しながら併せ技で垂直も直してゆく工事です。

    おそらくは新潟県は沈下修正工事のみで可能です。石川県では家起こし、および座屈した柱の取り換えなども必要になると思います。

  2. 工事の着工時期についてですが。皆さま1日も早い修復を望まれていらっしゃいると存じます。しかし、地盤が充分な固さに戻るまでは施工出来ません。

    余震がこのまま収まったとして、おそらくは最低3月頭くらいまでは着工するべきではありません。

  3. にわか業者、悪質ブローカーにご注意ください。

    普段、ご縁が無い業種ですから唯一、判断できる金額のみで選ばれることもあるかとあります。

    家は安心して眠れる場所でなくてはなりません。

    歴史を背負っていない利益だけを考えている方と誠実な工事をされている業者を一緒にしないようしてください。